入院したEさんの面会…
2019年に研修を受けて、市民後見人に登録しました。
2020年、身寄がなく、生活保護を受けている、80代の男性、Eさんの成年後見人になりました。
ボランティアです。
認知症などで、判断能力の衰えた方の法的な代理人となり、本人の財産管理や身上監護(ちょっとお堅い表現です)をします。
お金を預かり、ご本人のために管理しながら、見守りをする役目です。
普通は家族がやることなんでしょう…
成年後見人というと、弁護士や司法書士などの専門職に、高い報酬を払ってお願いするお金持ちの人が使う制度?と思われてきたかもしれません。
でもお金がなくてもこの制度に頼らなくてはならない高齢者がたくさんいます。
Eさんの後見人になった時、Eさんの所持金は300円でした…
地域の支援者たちに見守られながら、一人暮らしの自由を楽しんでいるようでした。
認知症も進み、生活保護のお金が入るとすぐに使ってしまいました。
なので保護費が入る日は、ケアマネさんが待ち構えていて、Eさんに付き添い郵便局に行き、まずは家賃を振込まなくては、たちまちお金がなくなりました。
家賃が払えなくなる、郵便局の暗証番号を忘れてばかり、食べるものがない、出かけると迷子になる…
困り事が続きました。
私は週に1回、仕事が終わると、ケアマネさんや包括支援センターの人と一緒にEさんの自宅を訪問しました。
そして1週間分の生活費を渡しました。
Eさんはお金をもらって「ありがとう」と嬉しそうでした。
最初、周囲の人たちは、私に「待ってた、やっと来てくれたんだね!」と言いました。
お金に関してはこれで安心だとホッとしたようです。
Eさんはその後も毎日のように出掛けては迷子になって保護される日が続きました。
事故に遭うかもしれません。
一人暮らしも限界となりました。
地域のネットワークはすごいです。
わりと近くにあるグループホームが、Eさんの受け入れ可能だと手を上げてくれました。
そこの女性管理者さんが、Eさんにすぐに会いに来てくれました。
本人が納得しなくては、無理やり施設に連れていくことはできません。
Eさん自身、1人ではご飯もちゃんと食べれなくなっていて、生活の不安は感じていたのでしょう。
「あったかい味噌汁とごはんあるよ、そこに行きましょう」と食べ物の話をすると「わかった」と納得しました。
子供や家族の都合で、親を無理やり施設に入れてはいけないのと同じです。
どんなに認知症が進んでいても、本人には意思があり、それを尊重することの大切さ、それが社会福祉士として学んだことの根幹にありました。
施設に入って、日常生活の質が上がったことで、Eさんの顔つきも体格も別人のようになり、穏やかに過ごせるようになりました。
それから3年余り、Eさんは80代半ばになり、徐々に体力気力が衰えてきました。認知症もさらに進み要介護も5になりました。
先週から肺炎になり入院したEさん。
今日はお見舞いを兼ねて面会に行きました。
施設での面会はこれまで月1回、10分程度でした。
当然私のことはいつも覚えていません。
でも結構会話はできました。
故郷や幼い頃の兄弟姉妹とのことなどをよく話してくれました。
遠い昔の記憶はしっかりあるのでしょう。
面会のたびに、季節のイラストの入ったハガキに一言メッセージを書いて渡しています。
今日もこれを持って病室に行きました。
起きているような眠っているような、話しかけることはできませんでした。
横の机にハガキを置いてきました。
入院時よりも改善はしているようです。
また施設に戻って会えることを祈りつつ…帰って来ました。